เข้าสู่ระบบ「そろそろ正気を取り戻すのじゃ、姉貴」まともに戦えばワシは勝てるじゃろうが、それでは姉貴が無事では済まぬはずじゃ。いつもと違う感じじゃから、姉貴の本意ではないのじゃろう。何かしら細工がされているはずじゃとは思うのだが……「あら、わっちはいつでも正気よ。 狂っているのはお前よ、この脳筋バカ娘!」ただ姉貴の姿を見ても周りを見ても何も感じられぬしのぅ。それともあのゼドが送り込んできた二人……なんと言ったかのぅ……まぁ、名前なぞいいか。あいつらが何かしておるのか……二人がいる方を見やると、まだシータが相手をしておる。それにあれだけ追い詰められておると、こちらにかまけている余裕はないじゃろ。だから、あいつらが何か裏でしているということはないのぅ。「あぁーっ、もう考えても分からんのじゃ。 とにかく、いつもと違うのじゃから、姉貴は正気ではないのじゃ!」そう言いながら、魔法で足止めをしたり、正気に戻るように攻撃をしておるのじゃが……やっぱりこの程度じゃ、姉貴には効かんのぅ。何せあの性格が故に身につけた力じゃから、ある程度のダメージをものともせんからのぅ。とりあえず正気に戻るまではこのままかのぅ。そう考えて、姉貴の様子を伺いながら、とりあえず回避をしておったところに、あやつが割り込んできた。ワシと姉貴の間に入り込んだあやつは顔を真っ赤にしながら立ちふさがっておった。その様子を見てか、姉貴も動きを止めた。「何をしておるのじゃ、おぬしは。 巻き添えを食いたいのか!」あやつを押しのけようと手をだそうとしたところだったのじゃが「と……とりあえず、俺に任せてくれ」あやつの眼も泳ぎ、動揺しておるのがすぐわかったのじゃ。それでも照れくさそうにしている意味がよくわらんがのぅ。「あら、やだわ。 わっちのところへ来てくれるのかしら」姉貴はよく知らないあやつのことを何故そこまで好意を持っておるのかはわからんのじゃが、妖艶な笑顔であやつを見ておる。ますます顔が赤くなるあやつ。「お……おぬし…… もしかして、姉貴に惚れたのか?」「そんなことあるかー! ちょっと思いついたことがあるんだけど、それが恥ずかしいだけだって」あやつはそう言うと、大きく息を吸いこんで吐き出しておる。そして、両手で頬を叩くと、また一歩前にでて姉貴に近づいていきお
ん? 今、一体何が起きた?確かあの時、俺が振った剣がラファエルを掠めた。 今まで空振りだったのがようやく当たって喜んだのもつかの間だった。 その時足についていた鎧が落ちてきたのを拾ったはずだった。 そう拾っただけだったのだが……「なんで女の人に絡まれているんだ?」俺にベッタリと体をつけてガシッと腕を組んで離さない。 痛いぐらいに掴んでいるので、離れることも出来ない。 顔は笑っているものの、目だけが冷たく光って見えていた。「女の人って、そんな他人行儀な言い方はないわね。 わっちよ、わっち」「そんなこと言われても、こっちになんか知り合いはいないし……」俺以外にこっちへ来たって聞いたことも見たこともないから、赤の他人のはずなんだが…… 思わずゾルダの方に顔を向けると、あのゾルダが驚いた表情でポカンとしている。「お前は…… いや、あなたは……」驚いた中でも、何かを話そうとしているようだが、言葉になっていないようだ。「もしかして……ゾルダのお知り合いかなにかでしょうか?」恐る恐る抱きついている女の人に確認をする。 するとその女性は「知り合いも知り合いだよなぁ、ゾルダ!」ドスの効いた声でゾルダを睨みつけている。「あ……姉貴?」ゾルダの口からまたも身内を思わせる一言が出てきた。「えっ? この人、ゾルダのお姉さんなの?」弟が危ないとの話が出てきたと後は、お姉さんの登場か。 いったい何人姉弟なのか?「いや…… 正確には、ワシの父の妹じゃ……」ゾルダが随分遠回しな言い方をしている。 少し気にはなったが、俺は気にせずに「あぁ、おばさんね」と言ったとたん、掴んでいた手の力がさらに入ってきた。「わっちのこと、おばさんって言ったわね。 どうしてくれようかしら」俺の事を睨みつけて顔を寄せ
「先を急ごうとしておるのに、なんかきおったのぅ」シータに言って、転移魔法で移動しようとした矢先に、高速の光がこちらに向かってきおった。 その光がワシらの前で降り立つと、現れたのは……「あなた方にはここで死んでいただきます」「あーしはどうでもいいんだけど、命令だしね。 ちょー退屈なんだよねー」なんかいきがっておるのぅ、こやつらは。 男女の魔族が殺気を立てて、ワシらに立ち向かおうとしておる。「なんじゃ、お前らは? ワシは先を急いでおるのじゃ。 邪魔じゃ、どけ」ワシは少し焦りがあるのかのぅ。 スビモの伝言を思い出す。 弟のところへ、早く行きたいのじゃがのぅ。 イラっとした気持ちを二人の魔族にぶつけていたのじゃ。「そう言われても我々も命令で来ておりますので、どくわけにはいきません」男の方が丁寧な受け答えをしつつも、ワシらの前に立ちふさがる。「そう言われてもじゃ。 ワシにはその命令とやらは関係ないのじゃ」いろいろと言われてもワシは知らん。 右に左に動くものの、その度にワシの前に立ちおる。 いっそのことぶっ倒そうかのぅ。 そう思い始めたら、その男はさっと後方に飛び、少し距離をとりおった。 勘が鋭いのぅ。「ねぇ、おばさんがゾルダ? へぇー、これがあのゾルダって人なの?」ワシを一瞥すると、魔族の男の方に確認をする。 しかし、ワシをおばさんじゃと?「そこの女! よっぽど死にたいのかのぅ」全身に魔力を込めはじめ、一撃くらわそうとしたその時、 あやつが止めに入ってきおった。「ゾルダ、ここでそれは…… 街にも被害が出るって。 ジェナさんにも言われているだろ」ここは街からは少し離れておるのに、あやつは律儀というか細かいのぅ……「少しぐらいいいじゃろ」「それじゃ、次からここにこれなくなるぞ。 祭りが楽しめなくなってもいいのか?」「うむ……それは困るのぅ……」こんな街ぐらいとは思ったが、祭りの出禁になるのはごめんじゃ。「だろ? だからここは我慢な」我慢と言われてものぅ。 うーん、しかし、こやつらは邪魔じゃしのぅ…… どうしたものかのぅ。「あっ。そうだ! シータ、お前がやれ! お前なら、街に被害出さずにやれるじゃろ」ワシはなかなか加減が難しいしのぅ。 シータならその辺りは心
数日にわたって開催されていたラヒド祭も今日が最終日。 この数日何をしていたかというと――『おい、見張りなんぞ最終日だけでよいのじゃ。 今日も祭りじゃ祭り』朝早く起きるなり、上機嫌のゾルダに首根っこを掴まれる。『ん…… まだ朝早いじゃん。 昨日も遅かっただろう。 もう少し寝かせてくれよ……』眠い目を擦りながらそう言うも『いいや、まだまだ足りんのじゃ。 存分に楽しまないとのぅ』そしてそのまま、祭りに引きずり出される。 セバスチャンやシータは苦笑いしながら、それについてくる。 そんな光景が繰り返されていた。ゾルダがそれほどまでに祭りが好きだったとは知らなかった。 でもよくよく考えると数百年封印されていて、その間何も楽しめなかったはず。 その反動もあって、楽しくて仕方がないのだろう。 そうそう祭りがある訳でもないし、今はゾルダの思い通りにやらせてあげよう。なんか親心みたいなものが芽生えてしまい、付き合っていたのだったが――「よし、今日は最終日じゃ! 名残惜しいが最後まで存分に楽しむのじゃ!」今日もまた朝から元気のいいゾルダ。「今日は最終日じゃん。 アスビモの商会の従業員たちに接触しないと……」ここに来た目的は祭りではない。 アスビモの居場所を探すためだ。 そのことを忘れてしまってないかと思うほど、満喫している。「そんなものは、ギリギリ最後でいいじゃろ。 撤収してから、街の外で脅せば一発じゃ」「いやいや。 途中で帰られたりしたらどうするんだよ。 一応、祭りの間もそれとなく気にして見ていたけど……」俺はゾルダに付き合って祭りを見て回ったものの、 気にはなるので、ところどころでアスビモの店を確認していた。「で、どうじゃったのだ?」「まったく帰る気配はなかったよ」売れる気配も無いのにずっとその場に居続けた。 しかも客足もずっと変わらないまま。「それなら、最終日も同じじゃろ」「とはいえさ……」さすがに最終日だし動きがあるのかもとは思う俺は、見張りをしようと提案する。「なら、お前ら三人で見ておけばいいじゃろ? ワシは祭りが終わったら街の外で合流するのじゃ」しかし、ゾルダは譲らない。 俺たちを置いて、さっさと街に繰り出していった。「マリー、ごめん、連日で。 ゾルダのこと
「……うっ……」最近何やら頭が痛くなることがある。 身体も精神的にもだ。 それもこれも、みんなゾルダのせいだ。 たまにあいつの声が聞こえてくる。 あの下賤な笑い声が頭の中を引っ掻き回す。 本当にあいつが復活してからロクなことがない。それにクロウやメフィストもあいつに負けた。 アスビモが連れてきたランボという奴もだ。 少しばかり期待した余がバカだった。 駒は所詮駒以上にはならんし、使い物にもならん。イライラした気持ちと頭痛を治めるためにアスビモが持ってきた薬を飲む。 この薬が結構よく効く。 飲んで数分で頭痛も取れるし、身体にも力がみなぎってくる。 最近少し飲む頻度が増えたような気がするが、そのうちに良くなってくるだろう。余の部屋から出てから謁見の間に向かうと、そこにはラファエルとクラウディアが控えていた。「魔王様、ラファエル、クラウディア共に帰還しました」余が王座に座ると、ラファエルとクラウディアが帰還の報告をする。「随分と遅かったな」戻ってくるように言ってからどのくらいたったのか。 時間は正確にはわかっていないが、気持ち的にはだいぶ経ったような気がする。「大変申し訳ございません」ラファエルは深々と頭を下げる。 クラウディアも申し訳なさそうにしている。「謝るぐらいなら、さっさと行動しろ、この馬鹿者めが」消えぬイライラをラファエルとクラウディアにぶつける。 お前たちも役に立たないな。「……」首を垂れたままラファエルとクラウディアは何も言わない。 その態度にも増す増す腹が立つ。 ただ、そこは堪えておこう。 何せこれでお前らも余のためになるんだからな。「まぁ、いい。 お前らはお前らなりに余の役に立つことだ」「はっ」二人からは力の入った返事が返ってきた。「お前たちを呼び戻したのは、ゾルダのことだ」「確か復活されたとお聞きしております」ラファエルの耳にも話を届いていたようだ。「えーっ、そうなの? あーしは聞いてないよ」クラウディアは不服そうな顔をしている。 その顔を見たラファエルがクラウディアを窘めている。 余に向かってなんたる態度だとは思うが、こうしている時間も鬱陶しい。 さっさと話を進めるか。「そのゾルダをお前ら二人で倒してこい」「あのゾルダ様を? あーしら二人で相手になる
「そろそろ、切り替えないとな…… たぶん、マリーがいるから無茶はしないとは思うけど……」ゾルダとマリーを見送った俺は心配しつつも、アスビモが運営する商会が出店している場所へと向かうことにした。「マリーにもきつく言っておきましたので、ご心配なさらずに。 お嬢様が暴れようとするなら、命を捨てて止めるはずです」にこやかな顔で怖いことを話すセバスチャン。「いや、そこまでしなくてもいいから。 それにゾルダとマリーと激突したらそれはそれで大変だし」きつい言葉に思わずオーバーなリアクションをしてしまった。そんな俺をシータとセバスチャンは変わったものを見るような視線を送る。その視線に我に返った俺はこっぱずかしい気分になった。「それはそれで面白いかもしれないの」シータもシータでゾルダが暴れる状況を楽しみにしているような発言をする。まぁ、そうならないことを確信しているから、そういうことを言うのだろうけど……「いろいろ、ゾルダの事を考えると、頭が痛いよ」「それは慣れていただかないといけませんね。 あれでもまだ以前に比べたら……」ゾルダの傍若無人ぶりというか自己中というか……あれでもまだ押さえている方なのね。「もうそれ以上言わないで。 俺が耐えられないから……」言いたいことを察した俺は、セバスチャンの言葉を遮った。ゾルダたちのおかげで、魔王軍との戦いは楽できているからいいけど、それ以外のところでは振り回されっぱなしだし……「そろそろあいつらが店を出しているというところですな」そんなことをゾルダの事を考えていたら、目的のところに到着した。「さぁ、本当に切り替えて、仕事するか」ぐっと背伸びをすると、対象の店舗を遠巻